2026年4月から給与明細が変わる!子ども・子育て支援金の控除額と計算方法

目次

はじめに

4月から、給与明細に見たことない控除が増えます。それが子ども・子育て支援金です。

新しい保険料が増えるという話は聞いたけど、具体的にいくら引かれるのか。社員からの質問にどう答えるのか。こうした細かいことまで理解している経営者は、まだ少数派のままです。

本文では、社長が知っておくべき子ども・子育て支援金のすべてと、この時期に重なる他の制度変更への対応について解説します。


1. 子ども・子育て支援金とは何か

子ども・子育て支援金は、健康保険料に上乗せされる新しい保険料です。

導入時期は2026年4月1日。児童手当の拡充や出産育児一時金の増額など、子育て支援施策に充てられます。

従業員の保険料は会社と従業員で折半ですが、この新しい支援金も同様に労使折半となります。給与から控除される額が増えるため、社員からは「え、給料が減った?」という質問が来ます。


2. 具体的な控除額はいくら?

従業員負担の計算式

控除額 = 標準報酬月額 × 0.36% × 1/2

実例で見るといくら?

従業員の給与 標準報酬月額 控除額(月額) 年額
25万円 26万円 約468円 約5,616円
35万円 36万円 約648円 約7,776円
45万円 46万円 約828円 約9,936円
55万円 56万円 約1,008円 約12,096円

給与35万円の従業員なら、年間で約7,800円の控除が増えることになる。

社員への説明ポイント

給料が減るのではなく、新しい社会保険料が追加されるという視点が重要です。

4月から子ども・子育て支援金という新しい制度が始まります。これは全国の企業・従業員が負担して、日本全体で子育て支援に充てる仕組みです。給与から約○○円が控除されることになりますが、これは法律で決まった制度となっています。


3. 他の制度変更と時期がズレていることに注意

2026年4月は給与計算の複数の制度変更が同時に起こるタイミングです。この点を見落とすと、給与計算の現場で大きな混乱が生じます。

4月に同時に変わること

制度 変更内容 時期 給与への影響
子ども・子育て支援金 新規導入 4月1日 健康保険料に上乗せ
雇用保険料率 毎年改定 4月1日 給与から控除
健康保険料率 保険者ごとに改定 4月1日 給与から控除
厚生年金保険料 毎年改定 4月1日 給与から控除

時期がズレる制度もある

制度 時期 注意点
所得税 年間計算、12月調整 4月変更なし。子支援金で実質的な手取り減
社会保険両立支援 随時改定(7月) 4月の改定額が7月に反映される場合もある

4月は複数の保険料率が同時に変わるため、計算ミスが大幅に増加しやすい月です。給与計算担当者が雇用保険料だけに注目していては、他の控除項目の変更を見落とすリスクが高まります。実際、4月は毎年給与計算のトラブルが多発する時期です。


4. 控除と納付のスケジュール:いつ引かれて、いつ払うのか?

給与計算の現場では、控除のタイミングと保険者への納付のタイミングを分けて考える必要があります。

従業員からの控除タイミング

原則として4月1日付の給与から控除開始ですが、社会保険料の徴収方法によってズレが生じます。

月給制の場合
4月支払給与から、子ども・子育て支援金が初めて控除される。3月に支払った給与には、まだ支援金は含まれていません。

日給制・時給制の場合
給与計算期間がいつからかによって異なります。たとえば月の中旬から翌月中旬を給与期間にしている企業では、4月1日ちょうどから控除が開始されない可能性があります。給与計算期間の開始日が4月以降であれば、その初日から控除されることになります。

保険者による違い
協会けんぽと健康保険組合、共済組合では徴収方法の細かいルールが異なります。保険者から通知される開始時期を必ず確認しておくことが重要です。自分の会社の保険者がどこかを把握していないと、対応を誤ることになります。

以降、毎月の給与から支援金が控除されていきます。ただし給与計算パターンが複雑な企業では、控除開始月にばらつきが生じるケースもあるため、細かい確認作業が欠かせません。

会社が保険者に納付するタイミング

翌月納付となります。これは通常の社会保険と同じ仕組みです。

控除月 控除対象給与 保険者への納付期限
4月 4月支払給与 5月末日
5月 5月支払給与 6月末日
6月以降 毎月 翌月末日

従業員負担分は会社が一度立て替えて、健康保険に納付します。会社負担分も同様に会社が健康保険に納付するため、両者合わせて翌月末までに保険者に納付することになります。

資金繰りへの影響

翌月徴収の場合を想定して、給与35万円の従業員が10人いる企業を例にしてみましょう。

4月の控除は従業員負担が約6,480円、会社負担が約6,480円となり、合計で約12,960円です。この金額を5月末までに保険者に納付する流れになります。従業員数が多い企業では毎月数万円から数十万円の納付が発生するケースも少なくありません。

ただし、保険者や給与計算方法によっては、控除した月ではなく翌々月に納付するパターンもあります。あらかじめ自社の納付スケジュールを保険者に確認しておくと、資金繰りの計画が立てやすくなります。

4月は複数の保険料改定により、保険料総額が増えるため、納付資金の準備をあらかじめしておくことが大切です。


5. 会社側の負担も増える

従業員の控除だけでなく、会社も同額を負担することになります。給与35万円の従業員なら、会社負担は月額約648円、年間で約7,800円増えます。

給与計算システムの手数料が上がる可能性もあります。複数の保険料改定に対応するため、給与計算ソフトのバージョンアップが必要です。


6. 給与計算ソフトの対応状況

主要ソフト(給与奉行、freee、マネーフォワード、弥生給与)は4月までに対応予定ですが、自動対応と何もしなくて大丈夫は全く別の話です。

対応すべきことは以下の通りです。

3月中にソフトのバージョンアップを実行する。複数の保険料率改定に対応したバージョンへのアップデートが必要です。全従業員の標準報酬月額を再度チェックする。特に異動や昇給がある場合は注意が欠かせません。4月の初給与を手計算で検証する。多重の制度変更があるため、計算ミスは必ず発見する段階を設けておきましょう。


7. 給与明細への記載方法

2026年4月以降の給与明細は、以下のように記載されます。

【給与】
 基本給              ¥350,000
 手当              ¥50,000
ーーーーーーーーーー
 総支給額             ¥400,000

【控除】
 健康保険料           ¥20,000
 厚生年金保険料       ¥39,600
 雇用保険料           ¥1,200
 子ども・子育て支援金  ¥648
ーーーーーーーーーー
 手取り額             ¥338,552

複数の保険料が同時に変わるため、社員は「なぜこんなに変わった?」と混乱しやすくなります。独立した項目として、それぞれの控除を明記しておくと、社員への説明もスムーズです。


8. 経営者チェックリスト(3月中に確認)

□ 給与計算ソフトを最新版にアップデートした
□ 複数の保険料改定に対応した設定をチェックした
□ 全従業員の標準報酬月額を再度確認した
□ 4月の初給与は手計算で検証する流れを決めた
□ 従業員への説明資料を用意した
□ 社会保険労務士に相談した


まとめ

2026年4月は、子ども・子育て支援金だけでなく、複数の保険料が同時に改定される複雑な月になります。

雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料、新規の支援金が同時に変わることで、給与計算のミスリスクが高まります。

今から準備すべきことは3つあります。

1つは給与計算ソフトの更新確認。複数の保険料改定対応版へのアップデートが必須となります。

2つめは従業員への事前説明です。複数の控除が増えることを周知しておくと、社員からのトラブルが減ります。

3つめは初回給与の徹底検証です。手計算での確認があると、システムエラーもキャッチしやすくなります。

社会保険労務士に相談すれば、複数の制度変更への対応方法をプロの視点からアドバイスしてもらえます。


本コラムについてのご質問やご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。

このコラムは2026年3月時点の情報に基づいています。詳細はこども家庭庁「子育て世帯の家計を応援」でご確認ください。

この記事を書いた人

人事労務のデジタル支援パートナー。経営者の「時間が足りない」という課題を解決する専門家で、経営者が将来を見据えた舵取りに専念できる時間を創出する仕組みづくりを得意としています。企業内部に深く入り込み、共に汗を流しながら課題解決に取り組むスタイルが特徴です。社会保険労務士・中小企業診断士・キャッシュフローコーチ・ITコーディネータ・医業経営コンサルタント

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