小規模事業者持続化補助金とは

皆さん、こんにちは。中小企業診断士の赤城正孝です。今回は、2025年3月4日に第17回公募の公募要領が公開された「小規模事業者持続化補助金」を、中小企業診断士の視点から解説します。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の皆様が、販路開拓や生産性向上などの経営計画に基づいた取り組みを支援する制度です。地域の雇用や産業を支える小規模事業者の皆様が、制度変更や市場ニーズに対応し、生産性向上と持続的な発展を図ることを目的としています。
小規模事業者向けということもあり、一般的には比較的採択率が高く、取り組みやすい補助金と言えるでしょう。
なお、補助率や補助上限額は、事業者の状況によって変動します。詳細はこの後解説します。
主な申請要件
小規模事業者であること
まず、本補助金の対象となる「小規模事業者」の定義を確認しましょう。業種によって、従業員数の上限が異なります。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
ご自身の事業がどの業種に該当するか、従業員数は条件を満たしているか、必ず確認しましょう。
また、国が助成する他の制度の事業を行っている場合は、原則として補助対象外となります。例えば、公的医療保険診療や太陽光発電のFIT制度などを利用する事業は補助対象外です。
補助率・補助上限額
補助率と補助上限額は、申請する枠や事業者の状況によって細かく設定されています。必ず公募要領で詳細をご確認ください。
補助率 | 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4) |
補助上限 | 50万円 |
インボイス特例 | 100万円(50万円の上乗せ) |
賃金引上げ特例 | 200万円(150万円の上乗せ) |
インボイス特例と賃金引上げ特例を 共に満たす事業者 | 250万円(200万円の上乗せ) |
インボイス特例は、免税事業者が、インボイス制度を機に、適格請求書発行事業者の登録を受けた場合に利用できます。
賃金引上げ特例は、事業場内の最低賃金を、申請時から50円以上増やす計画の場合に利用できます。賃上げを検討している方は、当補助金の申請を機に、ぜひ賃上げに取り組んでください。
申請期間
第17回公募の申請期間は、2025年5月1日(木)~2025年6月13日(金)17:00です。
第16回公募では、公募要領の公開から締切まで約3週間と非常に短い期間でしたが、今回は十分な準備期間が確保されています。しかし、油断は禁物です。早めの準備を心がけましょう。
第16回からの主な変更点
第17回公募では、第16回公募からいくつかの重要な変更点があります。
採択後の価格妥当性審査の導入
今回から、採択後に見積書等の提出が求められ、価格の妥当性について審査が行われることになりました。
これまでは、実績報告時に経費が否認され、支出したのに補助金を受け取れないケースもありました。今回の変更により、交付決定前に補助対象経費について事務局と認識を合わせることができ、より安心して事業を進められるようになったと言えるでしょう。
事業継続力強化計画策定加点
中小企業等経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受け、かつ計画の実施期間が終了していない場合、審査時に加点されます。
特に小規模事業者の方で、事業継続力強化計画を策定済の方はまだ少ないと考えられます。今回の補助金申請を機に、事業継続力強化計画の策定・認定取得を検討してみてはいかがでしょうか。
事業計画作成のコツ
小規模事業者持続化補助金は、提出された事業計画書に基づいて審査が行われ、評価の高いものから順に採択されます。
事業計画書を作成する際は、公募要領に記載されている「審査の観点」を必ず確認し、すべての項目を網羅するようにしましょう。
また、「事業の目的」との整合性も重要です。公募要領には事業目的として
小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」という。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(物価高騰、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。
本補助金事業は、小規模事業者等が自ら策定した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
と記載されています。そのため、今回の取り組みによって、
- 制度変更にどのように対応するのか
- 地域の雇用維持・産業発展にどのように貢献するのか
- 自社の持続的な経営にどのように繋がるのか
上記3点を明確かつ具体的に記述しましょう。
まとめ
今回の第17回小規模事業者持続化補助金は、採択後の価格妥当性審査の導入や事業継続力強化計画策定加点など、重要な変更点が見られます。これらの変更点をしっかりと理解し、早めに準備を進めることが重要です。
この補助金は、小規模事業者の皆様にとって、経営改善や事業拡大の貴重な機会となります。今回の情報を参考に、ぜひ積極的に活用をご検討ください。
なお、本サイトに掲載されている補助金・助成金情報は、2025年2月27日時点のものです。最新の情報については、必ず各制度の公式サイトをご確認ください。