基準日:2026年8月7日時点で、厚生労働省の公表資料を確認して作成しています。
パートタイムやアルバイトにも、条件を満たせば年次有給休暇を付与する必要があります。正社員だけの制度ではありません。飲食店、小売店、美容室、クリニックなど、短時間勤務の従業員が多い会社ほど、付与漏れと管理漏れが起きやすいところです。
経営者が最初に見るべきなのは、全員に正社員と同じ日数を付けるかどうかではありません。雇入れから6か月たっているか、出勤率が8割以上か、週の所定労働日数が何日か。この3つです。
ここを曖昧にしたままシフトだけで回していると、有給休暇を付けていない人、日数が違う人、残日数が分からない人が出ます。給与を支払う負担だけでなく、管理の手間が後から一気に増えます。
パート・アルバイトにも有給休暇は発生します

年次有給休暇は、正社員だけに与えるものではありません。厚生労働省のリーフレットでも、業種や雇用区分にかかわらず、一定の要件を満たしたすべての労働者に与える必要があるとされています。
最初に確認する条件は2つです。
- 雇入れの日から6か月継続勤務している
- 全労働日の8割以上出勤している
この条件を満たすと、有給休暇が発生します。週5日勤務に近い人なら、最初に10日付与するのが基本です。週4日以下で、週の所定労働時間が30時間未満の人は、週の所定労働日数や年間の所定労働日数に応じて付与日数が変わります。
たとえば、週4日勤務なら6か月経過時点で7日、週3日勤務なら5日、週2日勤務なら3日、週1日勤務なら1日が目安です。ここを知らずに、アルバイトだから有給なしとしていると、制度の入口から外れます。
パート・アルバイトが多い会社では、勤務日数が人によって違います。全員を同じ表で管理しようとすると、途中で見方が合わなくなります。最初に週何日勤務として契約しているかを確認してください。
飲食店や小売店で漏れやすいのは週の所定労働日数です
飲食店や小売店では、シフト実績で働き方を見がちです。けれども、有給休暇の付与日数を確認するときは、まず雇用契約上の所定労働日数を見ます。
見落としやすいのは、次の3つです。
- 週2日契約の人が、繁忙期だけ週4日に増えている
- 固定シフトではなく、月ごとに勤務日数が大きく変わる
- 店長や現場責任者だけがシフト実態を把握している
有給休暇の管理が面倒になる原因は、給与計算だけではありません。入社日、契約日数、出勤率、付与日、取得日、残日数を従業員ごとに持つ必要があるためです。
とくに店舗型の事業では、シフト表はあるのに雇用契約書が古いままということがあります。週2日契約のまま、実態は週4日近く働いている人がいるなら、契約内容の見直しも必要です。
週44時間特例の対象確認でも、人数や勤務実態の見方は正社員だけでは足りません。飲食店や小売店では、パート・アルバイトを含めた実態確認が先です。

有給を取った日の給与も支払います
有給休暇は、休ませるだけの制度ではありません。従業員が有給休暇を取得した日は、賃金を支払う必要があります。
有給休暇に対して支払う賃金は、就業規則などで定めた方法に従います。代表的には、通常の賃金、平均賃金、健康保険法の標準報酬日額を使う方法があります。小規模企業では、通常の賃金で処理しているケースが多いです。
時給者の場合、ここで手が止まりやすくなります。1日何時間分として払うのか、固定シフトがない人をどう扱うのか、半日や時間単位の運用を認めるのか。先に決めておかないと、給与計算のたびに確認が必要になります。
有給を使われると人件費が増えるから付けない、という運用はできません。問題は、支払うかどうかではなく、どの計算方法で処理するかです。就業規則、雇用契約書、給与計算の設定を同じ前提で見てください。
ここを曖昧にすると、従業員から有給を取った日の給与が少ないと聞かれたときに説明できません。説明が必要になってから資料を探すより、先に計算ルールを1つに決めておく方が現実的です。
管理が面倒なら、最初から台帳で見る項目を絞る

有給休暇の管理は、気合いで回すものではありません。最低限、従業員ごとに基準日、付与日数、取得時季を記録する必要があります。年次有給休暇管理簿は3年間保存する必要があります。
小規模企業なら、最初から細かいシステムを入れなくても構いません。まずは、次の項目を1人1行で管理してください。
| 確認項目 | 見る内容 |
|---|---|
| 入社日 | 6か月経過日を確認する |
| 週の所定労働日数 | 付与日数を確認する |
| 出勤率 | 8割以上か確認する |
| 基準日 | 有給を付与した日を記録する |
| 付与日数 | 何日付与したか記録する |
| 取得日 | いつ有給を使ったか記録する |
| 残日数 | 次に何日残っているか確認する |
この表がない会社は、経営者の記憶、店長のメモ、給与担当者のExcelに情報が散ります。人が替わると、どれが最新か分からなくなります。
クラウド勤怠ツールを使っている場合も、設定が合っているかは別問題です。入社日や週所定労働日数を入れていなければ、有給残日数は正しく出ません。便利なツールを入れる前に、必要な情報が入力されているかを確認してください。
年5日の取得義務に入る人も確認する
パート・アルバイトでも、年10日以上の有給休暇が付与される人は、年5日の取得義務の対象になります。正社員だけを見ていると、ここも漏れます。
たとえば、週4日勤務のパートは、継続勤務3年6か月で10日付与になります。週3日勤務でも、継続勤務5年6か月で10日付与になります。長く働いているパートが多い店ほど、年5日取得義務の対象者が増えます。
年5日の取得義務は、付与した日から1年以内に5日取得させる考え方です。会社の年度だけで見ると、従業員ごとの基準日と食い違います。
ここで必要なのは、誰が年10日以上付与されているかの確認です。パート・アルバイトを含めて、付与日数が10日以上になっている人を一覧にしてください。その人については、取得済み日数を年の途中で確認する運用が必要です。
社長が先に確認したい3つの資料

制度を細かく調べる前に、次の3つを並べるだけで現状はかなり見えます。
1. パート・アルバイトの雇用契約書
2. 直近6か月のシフト表と出勤簿
3. 有給休暇管理簿または給与ソフトの有給管理画面
雇用契約書で、週の所定労働日数を確認します。シフト表と出勤簿で、契約と実態が大きく違っていないかを見ます。管理簿や給与ソフトで、入社日、基準日、付与日数、残日数が追えるかを確認します。
この3つがそろっていない会社は、有給休暇の制度を知っていても運用で詰まります。特に、入社日と週所定労働日数が入っていない管理表では、正しい付与日数を出せません。
弊所では、パート・アルバイトが多い会社向けに、雇用契約書、勤怠管理、有給休暇管理の見直しをまとめて確認できます。飲食店や小売店で、誰に何日付ければよいか分からない場合は、まず現状の資料を並べるところから始めます。
FAQ
パートやアルバイトにも有給休暇は必要ですか
必要です。雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば、パートやアルバイトにも有給休暇が発生します。
週1日のアルバイトにも有給休暇はありますか
条件を満たせばあります。週1日勤務で週30時間未満の場合、6か月経過時点では1日付与が目安です。
有給を使った日は給与を払う必要がありますか
必要です。有給休暇を取得した日は、就業規則などで定めた方法に従って賃金を支払います。
シフト制の場合、付与日数はどう確認しますか
まず雇用契約上の週所定労働日数を確認します。契約と実態が大きく違う場合は、出勤簿やシフト表も見て契約内容の見直しを検討します。
年5日の取得義務はパートにも関係しますか
関係します。パートやアルバイトでも、年10日以上の有給休暇が付与される人は、年5日の取得義務の対象です。
有給休暇管理簿は必要ですか
必要です。使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存する必要があります。
