算定基礎届で対象かどうか確認したい従業員とは

算定基礎届で対象かどうか確認する場面を表したアイキャッチ

基準日:2026年7月9日時点で、日本年金機構の公表情報を確認して作成しています。

算定基礎届は、4月から6月の給与を集計する前に、その従業員が対象かどうか確認した方が早いです。ここを曖昧にしたまま進めると集計をやり直しやすくなり、月額変更届の対象者も拾いにくくなります。

小規模企業では、社長か担当者が最初に30分だけ一覧を見直すだけでも進み方が変わります。先に確認したいのは、6月1日以降に資格取得した人、欠勤や休職があった人、固定給や固定手当を変えた人です。

目次

最初に確認したい3つの人

算定基礎届の前に確認したい3つの人を示す図
算定基礎届の前に確認したい3つの人を整理した図です。

算定基礎届は、全員分の給与を一気に並べる前に、対象かどうか確認したい人を先に洗い出した方が進めやすいです。

特に確認したいのは、6月1日以降に社会保険へ入った人、4月から6月に欠勤や休職があった人、固定給や固定手当を変えた人です。この3つは、算定基礎届へ入れるのか、月額変更届を先に見るのか、支払基礎日数を丁寧に確認するのかが変わります。

算定基礎届全体の流れを先に押さえたい場合は、以前の記事も合わせて確認してください。

6月1日以降に資格取得した人は提出対象外です

6月に入社した人がいる会社では、まずその人を算定基礎届へ入れるのか確認します。日本年金機構の案内では、6月1日以降に資格取得した被保険者などは、定時決定の提出対象から外れます。

ここで見たいのは、入社日ではなく、社会保険の資格取得日です。入社日と資格取得日が同じとは限らないため、雇用契約書だけで判断せず、資格取得届や給与ソフトの登録日も見た方が安全です。

7月の作業中に6月入社の人をそのまま一覧へ入れてしまうと、後で外す手間が出ます。人数が少ない会社ほど、1人の見落としでも確認時間が伸びます。

入社日と資格取得日がずれやすいのは、月途中の入社や、入社後すぐに社会保険へ入る前提だったかが曖昧な場面です。採用時の説明では入社日だけを見ていても、届出や賃金台帳では資格取得日を基準に確認するため、社長と担当者の見方が食い違うことがあります。

この確認では、雇用契約書だけでなく、資格取得届の控えや社会保険の登録記録まで並べて見た方が確実です。提出対象かどうかを早めに確認しておくと、後ろの集計も進めやすくなります。

欠勤や休職があった人は支払基礎日数から確認します

欠勤や休職があった人は、給与額だけ見ても判断しにくいです。先に見るのは、4月、5月、6月の支払基礎日数です。

給与が下がっていても、それが欠勤控除によるものなのか、固定給自体を見直した結果なのかで見方が変わります。休職からの復帰途中で会社独自の補填が入っている場合も、金額だけでは読み違えやすいです。

確認したいのは次の3点です。

  • その月の支払基礎日数
  • 欠勤控除なのか、固定給変更なのか
  • 休職手当や補填が入っていないか

支払基礎日数は、単に出勤日数を見る話ではありません。月給制なら暦日数、日給制や時給制なら実際の出勤日数で見るため、給与の支払い方によって確認の仕方が変わります。社内で給与計算のルールが混ざっている会社では、ここを同じ見方で処理すると後で説明がつきにくくなります。

特に、欠勤が多かった月だけ賃金が下がっている人は注意が必要です。金額だけ見て対象外と考えるのではなく、先に支払基礎日数と給与形態を確認した方が安全です。

育児短時間勤務や勤務時間変更が絡むときは、社会保険の前提確認も必要です。勤務時間の考え方から見直したい場合は、

週44時間特例はどこまで対象か。業種と人数で先に確認したい基準

も参考になります。

固定給や固定手当を変えた人は月額変更届も確認します

基本給、役職手当、住宅手当、固定額の通勤手当などを変えた人は、算定基礎届だけ見れば足りるとは限りません。月額変更届の対象かどうかも確認します。

日本年金機構の随時改定の案内では、固定的賃金の変動があり、その後3か月の平均で2等級以上の差が出て、支払基礎日数の要件を満たすときは、随時改定の対象になります。変更後の報酬を最初に受けた月から数えて4か月目が改定月です。

実務で見落としやすいのは、社長が給与改定を決めた月と、変更後の給与を最初に支払った月が違う場面です。この違いで、算定基礎届へ入れるのか、月額変更届を先に見るのかが変わります。

残業代が一時的に増えた月と、固定給そのものを変えた月は同じではありません。賃金台帳を見るときは、増えた理由まで確認した方が早いです。

例えば、忙しい月だけ残業代が増えた人は、その3か月の金額だけで固定給が上がったと見るわけではありません。反対に、基本給や固定手当を見直した人は、残業が少なくても月額変更届の対象になるか確認が必要です。金額の大小ではなく、何が変わったかで見ると整理しやすいです。

通勤手当は入ります。賞与は別で扱います

算定基礎届の集計では、通勤手当は報酬に含まれます。反対に、賞与は賞与支払届で扱うため、月例の報酬と同じようには入れません。

日本年金機構のQ&Aでも、通勤手当は報酬に含まれると示されています。数か月分をまとめて支給していても、通勤手当としての性質なら報酬に入ります。

一方で、6月に賞与を払った会社は注意が必要です。賃金台帳で同じ月に表示されていても、月例給与と賞与をそのまま同じ列で扱うと確認を誤ります。

ここは担当者任せにせず、月例給与、通勤手当、賞与の3つを別に見ておくと、後で説明しやすいです。

社長が30分で確認したい順番

算定基礎届の前に社長が見る順番は、次の5つで足ります。

1. 7月1日時点の被保険者一覧を出す

2. 6月1日以降の資格取得者がいないか確認する

3. 欠勤、休職、勤務変更があった人に印を付ける

4. 固定給や固定手当を変えた人がいないか確認する

5. 月額変更届の対象か確認する

この順番なら、最初から全員分を細かく計算しなくて済みます。担当者との認識も合わせやすく、提出前のやり直しも減らせます。

社長が先に確認するのは、計算を自分でやるためではありません。誰をそのまま集計し、誰は資格取得日や支払基礎日数、固定給変更を見直すのかを早めにそろえるためです。ここが整理できていると、担当者も迷いにくくなります。

迷ったまま提出しない方がよいケース

相談前に準備したい資料を示す図
相談前に準備したい資料を整理した図です。

次のケースは、提出前に一度確認した方が安全です。

  • 4月から6月のどこかで固定給を変えた
  • 通勤手当の支給方法や金額を変えた
  • 欠勤や休職で通常月と比べにくい
  • 6月に入社した人がいる
  • 8月か9月の月額変更届に当たるか迷う

相談前にあると話が早いのは、4月から6月の賃金台帳、資格取得日が分かる資料、給与改定や手当変更のメモです。全部そろっていなくても確認は進められますが、この3つがあると確認の順番を合わせやすいです。

もし余裕があれば、就業形態が変わった月や、通勤手当の金額を見直した月もメモしておくとさらに確認しやすくなります。担当者が賃金台帳を見ながら、社長が変更理由を補足できる形にしておくと、提出前の判断が早くなります。

算定基礎届の対象確認、月額変更届の要否確認、賃金台帳の見方で迷う場合は、提出前の段階でご相談ください。

FAQ

算定基礎届は全従業員分を提出すればよいですか

いいえ。

7月1日時点の被保険者が基本ですが、6月1日以降に資格取得した人など、提出対象から外れる人がいます。

6月入社の従業員も算定基礎届へ入れますか

原則として入れません。

日本年金機構の案内では、6月1日以降に資格取得した被保険者などは提出対象外です。

欠勤で給与が下がった人はそのまま等級も下がりますか

そのままとは限りません。

支払基礎日数と、欠勤控除なのか固定給変更なのかを確認します。

通勤手当は算定基礎届に入れますか

入れます。

日本年金機構のQ&Aでも、通勤手当は報酬に含まれると示されています。

固定給を変えた人は算定基礎届だけで足りますか

足りないことがあります。

固定的賃金の変動があり、随時改定の要件に当たるときは、月額変更届を先に確認します。

6月の賞与は算定基礎届へ入れますか

月例給与と同じようには入れません。

賞与は賞与支払届で扱う前提なので、月例の報酬と混ぜない整理が必要です。

この記事を書いた人

人事労務のデジタル支援パートナー。経営者の「時間が足りない」という課題を解決する専門家で、経営者が将来を見据えた舵取りに専念できる時間を創出する仕組みづくりを得意としています。企業内部に深く入り込み、共に汗を流しながら課題解決に取り組むスタイルが特徴です。社会保険労務士・中小企業診断士・ITコーディネータ・医業経営コンサルタント

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