社労士との顧問契約で法改正対応と労務実務を丸投げする完全ガイド

本業に集中できない日々が続いているなら、その原因は労務管理に時間を奪われているからかもしれません。審議中の労働基準法改正案が施行されれば、これまで合法だったシフトが一転して法令違反になる可能性があります。自力で対応しようとしても、制度の読み解きに時間がかかり、判断ミスが見えない負債になります。この記事では、社労士との顧問契約で実務と心理的負担を丸ごと手放す方法を解説します。

目次

審議中の労働基準法改正で小規模企業のシフトが根本から変わる

法案の国会提出は時期未確定ですが、改正議論は継続しており、施行に向けた準備は今から必要です。

小規模企業に認められていた特例が次々と廃止される方向で議論が進んでいます。最も影響が大きいのは、従業員10人未満の商業・映画/演劇業・保健衛生業・接客娯楽業に認められてきた週44時間特例の廃止です。全業種で週40時間制に統一されれば、これまで合法だったシフトが法令違反に変わります。

また、現在は努力義務とされている勤務間インターバル制度の義務化についても議論されています。夜23時に閉店して翌朝8時に仕込みを始める飲食店のシフトを想像してください。終業から次の始業まで最低11時間の休息が義務化されれば、翌日は10時以降でなければ出社できません。

連続勤務の上限も制限される見込みです。13日を超える連続勤務は法律で完全に禁止される方向で議論が進んでいます。繁忙期に社員総出でシフトを埋める体制では、法律に対応できません。

パートタイムスタッフの社会保険加入拡大も続いています。2027年10月には従業員36人以上の企業まで週20時間以上勤務するスタッフが加入対象になります。法定福利費の増加とスタッフからの時間短縮要求が重なり、現場の人手不足を同時に引き起こすリスクがあります。

対応が遅れるほど未払い残業代として見えない負債が積み上がります。退職スタッフから過去3年分を遡って請求される事例は、毎年後を絶ちません。

改正の法的根拠と具体的な数値基準

労働基準法の改正議論は、40年ぶりの大幅な見直しとして進んでいます。2025年12月時点で法案の2026年通常国会提出は見送られており、現時点では2027年以降の段階的施行が見込まれています。

週44時間特例の廃止は、労働基準法第40条の特例措置の撤廃にあたります。常時10人未満の商業・映画/演劇業・保健衛生業・接客娯楽業に認められていた週44時間の所定労働時間が、廃止後は全業種一律で週40時間に統一されます。

勤務間インターバルの義務化は、終業から次の始業まで11時間の継続した休息確保を求めるものです。現行は努力義務ですが、義務化に向けた議論が進んでいます。

連続勤務の上限は13日を超える連続勤務を禁止する方向で整理されています。現行の変形休日制では理論上48日間の連続勤務が可能なため、現実の職場との乖離を是正する目的があります。

休日の定義についても明確化が求められます。就業規則で法定休日を特定日として明示することが議論中の改正案に含まれています。法定休日出勤は35%以上の割増率が適用されます。休日の定義が曖昧なまま計算を続けると、誰も気づかないうちにミスが蓄積します。

従業員5名の会社で年間180万円のコスト増

月給25万円・週44時間勤務の従業員が5名いる店舗で試算します。週44時間特例が廃止されて週40時間制に統一されると、所定労働時間が短縮されます。結果として、1時間あたりの基礎賃金単価が上昇し、従来と同じシフトで働かせれば、1人あたり月約17時間の時間外労働が発生します。

単価上昇と割増率の組み合わせで、1人あたり月額約3万円の残業代が追加で必要になる計算です。5名全員で毎月15万円、年間では約180万円が利益から消えます。対策なしに法改正を迎えれば、知らぬ間に法令違反状態になりながら同時に利益を削り続けることになります。

反対に社会保険への加入により手取りを減らしたくないスタッフが週20時間以内にシフトを切り詰めれば、今度は人手不足が深刻化します。人件費が増えるのに人手も足りない、二重の苦しみです。

人手不足から人を雇ったとしても、教育と手続きに時間を取られて追い詰められていく。その構造を変えることが、顧問契約の本当の価値です。

法改正に対応するための具体的な手順

今日からできるアクションを順番に示します。

手順1. 現状の労働時間と連勤実態を棚卸しする

まず出勤記録を引き出し、各スタッフの日ごとの始業・終業時刻と連続勤務日数を確認します。記録と実態に乖離がある企業では、隠れた長時間労働が潜んでいます。適切に休ませていたつもりでも、実は店長が15日連勤していた、ということもありえます。

手順2. 新ルールに基づくコスト試算を行う

現状のシフトを法改正後のルールに当てはめ、残業代と社会保険料の増加額を数値化します。年間での影響額が出ると、対策を打つ優先度が明確になります。漠然とした不安が経営判断の材料に変わります。

手順3. 就業規則と雇用契約書を見直す

新しいルールに合わせて就業規則を書き直します。法定休日の特定、インターバル条項の追加、連続勤務の上限規定が必要です。ネット上の古い雛形を流用し続けると、書類と実態が乖離したままトラブルの温床になります。

手順4. 勤怠管理システムを導入してプロに設定を任せる

複雑な計算を手作業で対応するのは現実的ではありません。クラウド型の勤怠管理システムを導入し、社労士に初期設定を任せます。国や自治体で行っている補助金や助成金を利用すれば、導入コストの最大2分の1から3分の2の補助を受けられます。

手順5. 社労士と顧問契約を結んで実務を丸投げする

社労士に依頼すれば手順1から4までまとめて進められます。棚卸しからシステム設定・就業規則改定まで一気通貫で任せられます。

自社の労務管理リスクをチェックする

以下の項目に心当たりがあれば、法令違反または未払い残業代リスクが潜んでいます。

  • 週44時間特例を前提としたシフトを組んでいる
  • 終業から翌日始業まで11時間の休息が空いていないシフトが存在する
  • 14日以上の連続勤務が発生したことがある
  • 法定休日と法定外休日を就業規則で明確に区別していない
  • 有給取得時の賃金計算方法を正確に把握していない
  • 勤怠記録がタイムカードや手書きで、端数処理を自己流で行っている
  • テレワーク中の勤務時間管理の仕組みがない
  • 就業規則を一度も改定したことがない、または改定から3年以上経過している

3項目以上あてはまる場合、現時点でも法令違反リスクがあります。深夜終業の翌朝に早番を入れるシフトは、その一点だけで将来的な賠償請求の対象になりえます。

よくある質問

Q1. 今後の法改正でうちのシフトが違法になると聞きましたが、本当ですか?

週44時間特例の廃止が実現すれば、特例を前提として組まれているシフトはすべて法令違反になります。終業から次の始業まで11時間の休息義務も議論が進んでいます。ギリギリの人数で回している店舗ほど、シフト再構築の時間的余裕がないため、早めに確認してください。

Q2. 従業員が数名しかいませんが、社労士との顧問契約は費用対効果が合いますか?

人数が少ないほど、経営者が実務を抱え込む比率が高くなります。社長が給与計算と労務手続きに月10時間かけているなら、その時間を営業に充てた場合の利益増と顧問料を比較してください。弊所のお客様の中にも、実務を手放したことで新サービスの開発に集中でき、売上が伸びた顧問先があります。

Q3. 勤怠ソフトの費用が出せません。手書きやExcelで続けてもいいですか?

計算を手作業で正確に行うことは、現実的に難しい状況です。今後は労働時間を客観的な方法で把握することが義務付けられる方向で議論が進んでいます。クラウド型の勤怠管理システムは月額数百円から導入できます。初期費用を実質ゼロにできる補助制度が公募中のケースもあるため、まず相談してください。

Q4. 給与計算だけを別の業者に頼んでいます。社労士との顧問契約とどう違いますか?

給与計算の代行業者は計算作業を行いますが、就業規則の改定・労使トラブル対応・行政調査への立ち会いは社労士の独占業務です。法改正を解釈して自社ルールに落とし込む作業も社労士でなければ対応できません。計算だけを外注していても、法的リスクは経営者が丸抱えしたままです。

Q5. 顧問契約を結ぶと毎月何をしてもらえますか?

一般的な顧問契約では、給与計算代行、入退社・社会保険手続き、ハローワーク手続き、労務相談への対応が含まれます。弊所では加えて、補助金・助成金情報、法改正情報の共有と自社ルールへの反映提案を行っています。経営者がアンテナを張らなくても対応が必要になれば連絡が来る体制を目標にしています。

まとめ

法改正は、小規模企業の労務管理を根本から見直す節目です。対応を後回しにするほど見えない負債が積み上がります。まず自社のシフトと就業規則が現行法に合っているかを確認し、問題があれば専門家へ相談してください。社労士との顧問契約で、経営者が本業に集中できる時間を取り戻せます。

弊所へのご相談

就業規則の読み直しも給与計算の手直しも売上を生まないコストです。弊所では顧問契約のもとで労務実務を一括してお引き受けしています。初回相談は無料です。

この記事を書いた人

人事労務のデジタル支援パートナー。経営者の「時間が足りない」という課題を解決する専門家で、経営者が将来を見据えた舵取りに専念できる時間を創出する仕組みづくりを得意としています。企業内部に深く入り込み、共に汗を流しながら課題解決に取り組むスタイルが特徴です。社会保険労務士・中小企業診断士・ITコーディネータ・医業経営コンサルタント

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