令和8年度の雇用保険料率が引き下げ!いつの給与計算から新料率を適用するか

目次

はじめに

令和8年4月1日から、雇用保険料率が引き下げられます。一般の事業では労働者負担が1,000分の5、事業主負担と合わせた合計が1,000分の13.5となり、令和7年度より1.0ポイント低下します。給与計算を担当している方にとって、まず気になるのがいつの給与計算から新しい料率を使えばいいのかという点です。この記事では料率の変更内容と、給与計算への反映タイミングを実務に即して解説します。

令和8年度の雇用保険料率

厚生労働省が公表した令和8年度の雇用保険料率は以下のとおりです。令和8年4月1日以降に適用されます。

事業の種類労働者負担事業主負担合計
一般の事業5/1,0008.5/1,00013.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業6/1,0009.5/1,00015.5/1,000
建設の事業6/1,00010.5/1,00016.5/1,000

出典:厚生労働省 令和8年度雇用保険料率について

令和7年度と比べると、一般の事業は合計が14.5/1,000から13.5/1,000へ、農林水産・清酒製造は16.5/1,000から15.5/1,000へ、建設は17.5/1,000から16.5/1,000へ、それぞれ引き下げられています。

雇用保険料率の推移(一般の事業)

直近の推移を確認すると、コロナ禍を境に料率が大きく変動していることがわかります。

年度合計料率(一般の事業)
平成28年度11/1,000
平成29年度〜令和3年度9/1,000
令和4年度(4月〜9月)9.5/1,000
令和4年度(10月〜)13.5/1,000
令和5年度・令和6年度15.5/1,000
令和7年度14.5/1,000
令和8年度13.5/1,000

令和4年10月の大幅引き上げが目を引きます。この背景を次のセクションで説明します。

引き下げの背景

新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、雇用を維持するための雇用調整助成金の支給が令和2年度から急増しました。通常は年間数百億円規模の支給額が、コロナ禍では数兆円規模に膨らみ、雇用保険財政は急速に悪化。積立金が枯渇し、国庫からの借り入れを余儀なくされました。

この財政悪化を受け、令和4年10月に料率を引き上げ、令和5年度にはさらに15.5/1,000まで上昇しました。その後、コロナ関連給付の終息と雇用情勢の回復にともない財政状況が改善。令和7年度に14.5/1,000、令和8年度には13.5/1,000へと段階的に引き下げられています。

事業主にとっては人件費コストの軽減、労働者にとっては手取り額の増加につながります。ただし、料率はまだコロナ前(9/1,000)の水準には戻っていません。

いつの給与計算から新料率を使うか

ここが最も注意が必要なポイントです。

新料率は、令和8年4月1日以降に最初に到来する締め日(支給が確定する日)により支給される給与から適用します。

「4月から」という表現だけ見ると、4月に支払う給与から変わると思いがちです。正確には、自社の締め日が4月1日以降に初めて到来するタイミングが切り替え時点です。

具体的な例で確認します。

例1:月末締め・翌月25日払いの会社

  • 3月31日締め → 4月25日払い:締め日が3月31日のため、旧料率(6/1,000)を適用する
  • 4月30日締め → 5月25日払い:締め日が4月30日(4月1日以降)のため、新料率(5/1,000)を適用する

例2:20日締め・翌月5日払いの会社

  • 3月21日〜4月20日分 → 5月5日払い:締め日が4月20日(4月1日以降)のため、新料率を適用する

どの月に働いたかでも、いつ支払うかでもなく、締め日が4月1日以降かどうかが判断基準です。自社の給与サイクルを確認し、4月1日以降に初めて迎える締め日がいつかを確認してください。

給与計算ソフトの設定確認を忘れずに

料率変更のタイミングで、実務上よく起きるトラブルが給与計算ソフトの設定更新漏れです。

ソフトによっては、料率が自動でアップデートされるものもあります。手動で変更しなければ旧料率のまま計算が続くソフトも少なくありません。特に中小企業向けの給与ソフトや、旧バージョンを使い続けているケースでは要注意です。

旧料率のまま計算してしまうと、従業員から控除する金額が多すぎる、または少なすぎるという状況が発生します。後から気づいて修正する場合、従業員への説明や差額精算が必要になり、手間が倍増します。

3月末から4月初旬にかけて、以下を確認してください。

  • 給与計算ソフトが最新バージョンになっているか
  • 雇用保険料率の設定画面で新料率が反映されているか
  • 4月以降の給与計算前に必ずテスト計算を実施する

年度更新の時期(6月〜7月)にも雇用保険料の精算が発生するため、誤った料率で計算していると年度更新時の修正作業が増えます。4月の給与計算前に設定を見直しておくことが、後々の手間を大きく減らします。

まとめ

令和8年度の雇用保険料率は、令和8年4月1日以降に支払う賃金から新料率を適用します。4月に働いた分ではなく、支払日が4月以降かどうかが判断基準です。自社の給与サイクルと支払日を確認し、給与計算ソフトの設定が更新されているかどうかもあわせてチェックしてください。

雇用保険に関する手続きや年度更新の対応でご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

人事労務のデジタル支援パートナー。経営者の「時間が足りない」という課題を解決する専門家で、経営者が将来を見据えた舵取りに専念できる時間を創出する仕組みづくりを得意としています。企業内部に深く入り込み、共に汗を流しながら課題解決に取り組むスタイルが特徴です。社会保険労務士・中小企業診断士・キャッシュフローコーチ・ITコーディネータ・医業経営コンサルタント

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