5月病や6月病で従業員に異変が出たとき社長が最初に取るべき対応

5月病や6月病の初動対応をテーマにしたイラストのアイキャッチ画像

GW明けから6月にかけて、遅刻が増えた、返事が遅い、表情が重い、ミスが続く。こうした変化が出たとき、社長が最初にやるべきことは、根性論で押すことでも、病名を決めつけることでもありません。事実を整理し、本人が話しやすい場を作り、業務負荷を調整し、必要なら外部につなぐことです。初動が遅れると、欠勤、休職、退職まで一気に進みます。小規模企業ほど一人の不調が現場全体に響くため、早い段階で手を打つ方が経営コストは小さく済みます。

目次

5月病や6月病は病名ではなく異変のサインです

結論から言うと、社長が見るべきなのは言葉そのものではなく、働き方と体調の変化です。

5月病や6月病は通称であり、正式な診断名ではありません。新年度の環境変化、業務量、人間関係、通勤負担、生活リズムの乱れが重なり、心身に不調が出やすい時期を指す言い方です。ここで社長が先に決めつけると、本人が状況を話しにくくなります。

先に確認したい変化

最初に見るのは、感想ではなく事実です。

  • 遅刻、早退、欠勤が増えていないか
  • 以前より返信や報告が遅くなっていないか
  • ミス、やり直し、抜け漏れが急に増えていないか
  • 表情、声量、身だしなみ、食欲などに変化がないか
  • 残業や持ち帰り対応が偏っていないか

この段階で必要なのは、記録を持つことです。曖昧な印象だけで面談に入ると、本人も上司も話が噛み合いません。

社長が取るべき初動対応

従業員の異変に対して社長が取る初動対応の4ステップを示した図
初動対応の4ステップ

初動は、観察、対話、調整、接続の順で進めると崩れにくいです。

個別に短く声をかける

最初の面談は、人前でやらないことが要です。

周囲の前で詰めると、防御反応が強く出ます。会議室や静かな場所で、最近少し疲れて見える、業務量で詰まっている点はないか、眠れているか、通勤や家庭事情で困りごとはないか、という順で短く確認してください。問い詰めるより、事実確認に寄せた方が本音が出やすくなります。

業務負荷を一時的に軽くする

異変が見えたら、仕事の量と締切をいったん見直します。

担当が少ない会社ほど、本人が抜けると困るため、無理に抱えさせがちです。そこを続けると、数日で回復したかもしれない不調が長引きます。期限の近い業務を分ける、対人負荷の高い仕事を外す、朝一の定例を減らすなど、小さな調整でも差が出ます。早い段階で業務を切り分けるほど、欠勤や引き継ぎの混乱を抑えやすくなります。

受診や相談先を案内する

社長が診断役になる必要はありません。つなぐ役に徹する方が安全です。

不眠、食欲低下、涙が止まらない、出社前に動けないといった状態が出ているなら、医療機関の受診を勧めてください。産業医がいない小規模企業でも、地域産業保健センターなど外部相談先を使える場面があります。社内だけで抱えるより、外部の視点を早く入れた方が判断しやすくなります。予防の仕組みづくりも含めて見直したい場合は、ストレスチェック義務化で中小企業がいま準備すべき費用・手順・よくある疑問も合わせて確認してください。

記録を残して次回面談を決める

一度話して終わりにしないことが大事です。

面談日、本人の申出、会社が取った対応、業務調整の内容、次回確認日を簡単に残してください。翌週に再確認の場を置くだけでも、悪化の見逃しを減らせます。小規模企業では、社長が気にしていたのに忙しさで流れた、という失敗が起きやすいです。

やってはいけない対応

避けるべき対応を外すだけでも、悪化リスクはかなり下がります。

根性論で押し切る

気合いで乗り切れ、みんな疲れている、という返しは逆効果です。

本人は相談先を失い、隠して出勤を続けます。その結果、ある日突然来なくなる流れに入りやすくなります。

病名を決めつける

うつだろう、甘えだろう、と社長が決めるのは危険です。

診断は医療の領域です。会社がやるべきなのは、働き方の調整と受診の後押しです。

みんなの前で共有する

配慮のつもりでも、公開の場で触れるのは避けてください。

本人の信頼を失うだけでなく、職場全体の相談ハードルも上がります。守秘の線引きは早い段階で徹底した方が後が楽です。

休職や欠勤に進む前に確認したい実務

不調対応は感情論で終えず、制度と書類も並行して見ます。

就業規則の休職規定

休職制度の有無、対象者、期間、診断書の扱い、復職判定の流れを確認します。

規定が曖昧だと、休ませる段階で社内判断の基準がそろいません。本人への説明も長引きます。

年次有給休暇と欠勤処理

当面の休みを有休で処理するのか、欠勤にするのかを先に決めます。

給与控除や社会保険料への影響が出るため、場当たりで進めない方が安全です。

安全配慮の視点

会社には、無理な働かせ方を避ける姿勢が求められます。

明らかに不調のサインが出ているのに長時間労働を続けさせると、後から説明が苦しくなります。本人保護だけでなく、会社防衛の意味でも初動は軽く見ない方が得です。

よくある質問

社長から受けることが多い論点を先に整理します。

Q1. 5月病や6月病は放っておけば戻りますか

戻る人もいますが、見極めなしで放置するのは危険です。

数日で整う軽い疲労なのか、受診が必要な不調なのかは、会話と経過確認なしでは分かりません。

Q2. 診断書が出るまで会社は動かなくてよいですか

そうではありません。

診断書の前でも、面談、業務調整、受診案内、記録整理はできます。むしろそこが初動です。

Q3. 少人数の会社でも外部相談先を使えますか

使える場面があります。

産業医がいない会社でも、地域産業保健センターなどにつなげられることがあります。社内だけで抱え込まない方が判断しやすくなります。

Q4. 本人が大丈夫と言ったらそのままでよいですか

その場では無理をして答える人がいます。

大丈夫という返答だけで終えず、1週間以内に再確認の場を置き、業務量も合わせて見てください。

Q5. 周囲の従業員には何を伝えるべきですか

必要最小限で十分です。

業務分担の変更だけを伝え、本人の体調や私的事情まで広げない方が安全です。

Q6. 社長が最初にやることを一つに絞るなら何ですか

個別面談の日程を今日決めることです。

悩んでいる時間が長いほど、現場では悪化が進みます。完璧な答えを待つより、短い面談を先に入れる方が前に進みます。

まとめ

5月病や6月病という言葉に引っ張られず、事実確認、個別面談、業務調整、外部接続、記録の5点で動けば初動は外しにくくなります。社長が病名を決める必要はありません。先に働き方を整え、必要な支援につなぐことが役目です。

小規模企業では、一人の不調が売上、納期、他の従業員の負荷に直結します。だからこそ、まだ軽いうちに動く方が合理的です。今週のうちに、気になる従業員がいるか、面談記録の型があるか、休職規定がすぐ出せるかを確認してください。

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この記事を書いた人

人事労務のデジタル支援パートナー。経営者の「時間が足りない」という課題を解決する専門家で、経営者が将来を見据えた舵取りに専念できる時間を創出する仕組みづくりを得意としています。企業内部に深く入り込み、共に汗を流しながら課題解決に取り組むスタイルが特徴です。社会保険労務士・中小企業診断士・ITコーディネータ・医業経営コンサルタント

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